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地面にいる鳥のヒナを見つけたとき「大丈夫かな」「助けてあげたい」と思うけど、本当は、そのままにすることがいいんだ。その理由を知り、野鳥のヒナについていっしょに学んでいこう。
野鳥の子育てとは?
多くの野鳥は、春から初夏の短い期間で子育てするよ。親鳥は、生まれたヒナにたくさんの食べ物をあたえて育てるんだ。ヒナが生まれてから巣立つまでは、半月(1カ月の半分)ほど。わずかな間に、ヒナは飛び方や食べ物の取り方を学び、ひとり立ちするよ。
巣立ったヒナは、どれくらい生き残ることができるんだろう? 実は、ヒナの多くはヘビやイタチ、大きな鳥に食べられるなどして命を落とし、生き残ることが少ないんだ。例えば1組のスズメの夫婦は、1年に1~3回子育てし、約5~15羽のヒナを育てるよ。でも、巣立ったヒナが次の年まで生き残る確率は、約1割だと考えられているんだ。いかに短い期間でヒナを成長させ、巣立たせるかが重要だよ。そして、もしヒナを見つけたら「そのままにする」ことがいいんだ。下でくわしく説明しているから、チェックしてみよう。
自然の仕組みに目を向けよう
鳥も私たち人間と同じで、他の命を食べて生きていくよ。体重15gのシジュウカラが、1年間に必要とする虫は10万ひきをこえるほどなんだ。虫が少なくなる秋冬には、木の実などを食べる小鳥も多くなるけど、ヒナを育てるには高栄養で消化しやすい虫が必要。虫の多い春から夏は、子育てにぴったりなシーズンなんだよ。
小鳥は虫を食べることで、虫が増え過ぎないようにおさえ、その結果、虫が植物を食べつくすことも防いでいれるんだ。またヒナの多くは、大人になるまでの間に他の生き物に食べられるけど、その生き物の命を支えていることも知っておこう。ヒナの命だけを考えるのではなく、大きな自然の仕組みに目を向けて、学ぶことも大切だよ。
ヒナが自然で生きていくために
ヒナのことを知ろう!
ヒナを見つけたら、そっとその場を はなれてあげるのがいいんだ。ここではその理由を説明するよ。
Q
どうしてヒナが地面にいることがあるの?
A
巣立ったヒナは、巣からうまく飛び出せずに落ちることがあるよ。ケガがなければ、親鳥が給餌や誘導をするうちに飛べるようになるといわれているんだ。
Q
ネコやカラスに食べられないの?
A
心配なら、ヒナを近くのしげみの中に移してあげることもできるよ。親鳥は姿が見えなくても、ヒナの声で気づくことができるんだ。
Q
ヒナを見つけたら、どうしたらいい?
A
巣立ち直後のヒナの近くには親鳥がいるんだ。人が近くにいると、親鳥は警戒してヒナに近づけないから、そっとその場を離れると良いよ。
Q
人がヒナを育てることはできないの?
A
巣立ち後のヒナは親鳥から「何が食物で、何が危険か」などを学ぶため、人に育てられたヒナは自然界で生きていけるとは限らないんだ。
野鳥は許可なくつかまえたり、飼うことはできないよ。ケガをしている希少種など、放っておけない場合は、動物園へ連絡するのではなく、静岡県自然保護課(054-221-2719)に相談してね。
野鳥にえさをあげないで
野鳥は、自然にある食べ物を食べて生きているよ。野鳥にえさをあげるとどんな問題が起きるか、いっしょに見ていこう。
●野鳥が自然界で生きていけなくなる
人がえさをあげると、野鳥は自分でえさをとれなくなるよ。えさを探す能力を低下させてしまうんだ。
●生き物のバランスがくずれる
野鳥がえさをとらなくなると、えさである生き物の異常繁殖を引き起こすなど、 生き物のバランスがくずれてしまうよ。
●フンや鳴き声の被害が発生する
人が野鳥にえさをあげると、多くの野鳥が集まるようになって、えさやりの場の近くではフンや鳴き声の被害が発生するんだ。
●感染症の拡大を引き起こす
野鳥が集まることで、感染症の拡大を引き起こすことがあるよ。平成28年度には、餌付けや給餌により多数の水鳥が密集している場所で、鳥インフルエンザの感染が確認されたよ。
「しぜんたんけんてちょう」で情報発信中
静岡市のウェブサイト「しぜんたんけんてちょう」では、自然や環境に関する情報を発信しているよ。静岡市の自然や環境のことを紹介するキッズページもあるんだ。調べ学習に活用してみよう。
監修:静岡市 環境共生課

エコチルは、地球環境保全に取り組む子ども達を育むとともに、学校や家庭でのエコライフ推進を目的としたメディアです。