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みんな大好きな動物園! たくさんの動物に会えて楽しいよね。実は、動物たちのうんちは、植物を元気にする肥料になるんだ。今回は、天王寺動物園の取組を通して、「循環」について考えてみよう。
動物園のうんちは捨てるのも大変!
普段見られない動物を間近で見ることができる動物園。そんな動物園の動物たちはみんな生きているから、ごはんを食べて、うんちをするよね。しかも大きな動物たちもたくさんいるから、毎日出るうんちの量はとてつもない量になるんだ。
人間は、トイレに流せば良いけれど、動物園の動物たちのうんちはそうはいかない! 飼育員さんたちが掃除して、ごみとして処分しているよ。それはとても大変なだけでなく、お金もかかるし、ごみとして燃やすときに二酸化炭素が出てしまうから、環境にも影響があるんだ。そこで全国のいろいろな動物園で行っているのが、うんちや食べ残しで、植物の肥料になったり土の状態を良くしたりする「堆肥」を作る取組だよ。
植物の栄養になって動物たちのえさになる
うんちや食べ残しを堆肥にする取組は、エコチルの「動物園だより」でもおなじみの動物園、天王寺動物園でも行われているんだ。約170種1000点の動物がいる天王寺動物園。うんちと食べ残しの量は、なんとサバンナゾーンだけで、1日200~300㎏! ごみとして処理するのが大変なので、園は、2002年に大きなコンポストタンクを導入したんだ。コンポストタンクは、生ごみやうんち、落ち葉などを微生物の力で堆肥にする機械。今は、タンクに近い所にあるサバンナゾーンの動物たちのうんちや食べ残したえさなどから堆肥を作っていて、「サバンナ堆肥」と呼んでいるよ。サバンナ堆肥には植物が大きくなるための栄養がたっぷりふくまれていて、不思議なことにまったくくさくないんだ。
天王寺動物園は、サバンナ堆肥を使って、園内の緑を増やしたり、園内の畑で動物たちのえさになる野菜を作ったりしているよ。さらに園外の緑を増やす活動や畑の肥料にも使われていて、そこでできた野菜や、お手入れのときに出た枝葉などは、動物たちのえさになっているんだ。
野菜や葉を動物たちが食べて、動物たちのうんちを微生物が食べて、できた堆肥が植物の栄養分になる。そうやって、うんちも無駄にすることなく、ぐるぐるくり返しているんだ。そうやってくり返すことを「循環」というのだけど、「循環」は環境を考えるときにとても大切! エコチルによく登場する3R(リデュース、リユース、リサイクル)も「循環」だよ。みんなも無駄をできるだけ無くすために何ができるか考えてみてね。
サバンナ堆肥ができるまで
【1】
サバンナゾーンの動物たちのうんちや食べ残したえさ、園内の落ち葉や枝を集める
【2】
コンポストタンクに、集めたうんちなどをいれる
【3】
タンクの中の微生物たちが、入れた物を食べて発酵分解して、3~4日でふわふわの堆肥が完成!完成した堆肥は、さらさらで全くにおわないんだ。堆肥には、植物の生長に必要な窒素、リン、カリウムなどがたっぷり入っているよ。
ぐるぐるすることが大切!
天王寺動物園の取組から「循環」を学ぼう
天王寺動物園の取組では、動物たちのうんちや食べ残したえさが、ぐるぐる循環して、動物たちのえさにつながっているんだ。みんなのまわりには、どんな「循環」があるか考えてみよう。
みんなも「3R(リデュース、リユース、リサイクル)」を意識すれば、無駄を減らせる「循環」を行えるんだ!
みんなのまわりにどんな「循環」があるか考えてみてね。
ウンチも食べ残しも無駄にしない!
サバンナ堆肥の「循環」を見てみよう
サバンナ堆肥は、天王寺動物園内はもちろん、園外でも使われ始めていて、イベントもいろいろ行っているんだ。少しだけ紹介するよ。
園内、体験農園 「てんのうじZOOガーデン」
子どもたちといっしょにサバンナ堆肥を使って野菜を育て、園の動物たちに食べてもらうイベントが行われているよ。一昨年の第1回は園内の畑で開催。去年は市内の体験農園でたくさん作って、参加した人たちにも持ち帰って食べてもらったんだ。
咲くやこの花館「サバンナ堆肥でSDGs~動物園の堆肥で植物園の花づくり~」
サバンナ堆肥を使って、市内の植物園「咲くやこの花館」のエルフガーデンの土作りをしているよ。イベントでは、動物園の取組の説明やサバンナ堆肥の配布が行われたんだ。
共生の森
堺市にある埋立地の一部で行われている森作り「共生の森」。約20年前から始まって、今までに7万5000本以上の木が植えられてきたよ。園は、NPO法人「グリーンベイOSAKA」が活動しているエリアで、チーム「KIOUETAI」※といっしょに植樹や育樹を進めていて、肥料としてサバンナ堆肥が使われているんだ。
※SDGs・2030年以降の地球の未来を見すえて、世界規模で「樹木のもつ自然の力」をひろげることを
目的とし、樹木の苗木を植える体験を提供する活動をしているチーム
小学校や福祉施設の畑や里山
いろいろな小学校や福祉施設でも使われているよ。たとえば、裏に里山がある「社会福祉法人桃花塾」には、剪定した枝や葉を持って来てもらって、サバンナ堆肥を持って帰って肥料で使ってもらったりしているよ。ごみになってしまう枝や葉も、動物たちにとってはおいしいごはんになるんだ。
昨年までは、作った堆肥の20%しか使えていなかったんだけど、協力してくれる所が増えてきて、今年は60%くらい使える予定なんだ!「循環」の輪がどんどん広がっていくと良いね。
\サバンナ堆肥を使ってみよう!/
「2025年大阪・関西万博1か月前だよ!SDGsアクションまつり」
サバンナ堆肥を使った植栽体験のほか、リメイク缶に花を植えるアップサイクル体験、講話など、楽しく学べるイベントが盛りだくさん!サバンナ堆肥ももらえるよ!
[開催日]
3月8日(土)、9日(日)
[参加費]
無料
[開催場所]
TENNOJI ZOO MUSEUM実験室ほか
「サバンナ堆肥を混ぜて苗木の植樹と植栽体験」は3月9日のみ。1日4回、各回2組計8組(1組4名まで)で、事前予約制。定員制のものもあるから、申込方法などくわしくは天王寺動物園のホームページを見てね!
監修:
天王寺動物園
大阪市環境局
エコチルは、地球環境保全に取り組む子ども達を育むとともに、学校や家庭でのエコライフ推進を目的としたメディアです。