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お米は私たちの主食であり、おもちやおせんべい、お酒などの原料にもなるなじみのある食べ物。お米には白米だけでなく、いろいろな種類があるよ。今回取り上げるのは、「赤米」。その特徴や育て方、食べ方を知って、赤米にくわしくなろう。
白米は「赤米」が変化した!?
日本人の主食であるお米には、うるち米やもち米などさまざまな種類があるよ。その中でも「赤米」という種類を聞いたことはあるかな?赤米は「古代米」の1つで、古代から栽培していたことが知られているよ。「古代米」とは、野生稲の特徴を残しているお米のことで、赤米の他に黒米などがあるんだ。実は、みんなが普段食べている白米は、赤米が持つ米に色を付ける遺伝子が、変化して無くなったことで、白米ができたんだ。
また、赤米には栄養が多くふくまれているよ。ポリフェノールの1種であるタンニンをはじめ、ビタミンやミネラルも豊富で、健康を保つ食べ物だといわれているんだ。白米と混ぜることはもちろん、おはぎやクッキーに入れてもおいしく食べることができるよ。米の表面が赤く、調理するとうっすらと赤くなることから、見た目がはなやかに仕上がるというメリットもあるんだ。
登呂遺跡でも育てている赤米
赤米はどのようにして育てているのだろう?図1を見てみよう。赤米の栽培は、3~4月に行う田起こしから始まるよ。田起こしで土を深くほり起こしたら、4月になえを育てるんだ。そして5月には、稲が育つために土の表面を平らにする代かきをして、育てたなえを田んぼに植えるよ。夏になると稲が育ってくるから、良く育つように何度も草取りをしながら、秋の収穫をむかえるんだ。赤米はいくつもの手間をかけて育てられていることが分かるね。
静岡市では、登呂遺跡に復元された田んぼで赤米を育てているよ。10月は、春に植えたなえが育ち、収穫をむかえる時期。登呂遺跡で行われる赤米の収穫体験イベントに、家族や友達といっしょに参加してみよう(くわしくは図2を見てね)。
土鍋でたいた赤米
図1
どう育てるの?赤米ができるまで
赤米は春から秋にかけて、たくさんの手間をかけて育てられているよ。
【3~4月 田起こし】
田んぼの土を掘り起こして細かくするよ。空気にふれるから土の養分が活性化するんだ。
【4月 なえづくり】
前年に収穫した種もみを使って、苗代と呼ばれる場所でなえを育てるよ。
【5~6月 代かきと田植え】
代かきで稲が快適に育つよう環境を整えてから、育てたなえを田んぼに植えるよ。
【7~9月 草取り】
稲が良く育つように、水田に生える草取りをするよ。
【10~11月 収穫】
稲穂が付いたら収穫。約1週間、稲架かけをして稲を干し、脱穀ともみすりをして終了。
図2
登呂遺跡で実った赤米を収穫しよう!
10月は赤米の収穫体験イベントを開催。稲かりをするときに使う「石器づくり体験」もできるよ。
捨てずに再利用!
古くから伝わる稲わらの活用方法
稲を育てて収穫すると、お米といっしょに「わら」も手に入るよ。わらは中が空洞で軽く、束ねたり、ねじったりすると丈夫になるという特徴から、生活のいろいろな場面で使われてきたんだ。
稲作が広まった弥生時代には、住居の屋根や敷物に使われていたと考えられているよ。その後、しめ縄やほうき、ぞうり、わらじなどとして生活の中に活かされてきたんだ。また、稲作ではわらだけでなく、もみがらやぬかも出るけれど、捨てられるのではなく、肥料などとして利用されているよ。稲作は捨てるものが無い、小さな「持続可能な」社会そのものなんだ。
みごほうき
みごは「稈(み)心(ご)」と書くよ。「稈(み)」は「わら」とも読み、「稲や麦など穀物全般のくき」という意味なんだ。下の写真は、登呂遺跡で収穫した稲穂からみごをぬき取り、束ねて作ったみごほうき。
わらぞうり
農家では、夜や冬の時期に手作りしていたよ。わらぞうりづくりではまず、わらを木槌で打ってやわらかくするんだ。そのわらをよって縦縄を作り、縄を道具に引っかけて輪っかを作り、縦と横に編みこんでいくよ。
しめ縄
2本のわら束をしばって三つ編みにして、輪のように結んだ後、ウラジロ、紙垂、ユズリハ、だいだいを付けるよ。お正月に、玄関や家の中および外の大事な所にかざるんだ。
登呂博物館では、稲わらを活用したワークショップを定期的に開催しているよ。みごほうきづくりやしめ縄づくりに挑戦してみよう。
[監修]静岡市 文化財課登呂博物館
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