【橿原市昆虫館だより】肉食のため、飼育は大変です「ヒメタイコウチ」|地球にやさしい子ども達を育む環境教育メディア  
奈良
動物園だより
2024.07.08

【橿原市昆虫館だより】肉食のため、飼育は大変です「ヒメタイコウチ」

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↑クマワラジムシを捕食するヒメタイコウチ

今月のどうぶつ:ヒメタイコウチ

学名:Nepa hoffmanni
カメムシ目 タイコウチ科
生息地:本州(東海~近畿地方)、四国(香川)

ヒメタイコウチの卵

肉食のため、飼育は大変です

ヒメタイコウチの体長は、2㎝ほどです。水生昆虫の仲間で、タガメやタイコウチなどと同じカメムシの仲間です。おしりの先の呼吸管が短いため、とても浅い水域を好みます。はねはありますが、飛翔能力は無く、飛べません。

ヒメタイコウチの繁殖は、年に1回だけです。4〜5月ごろに、しめった土の中に卵を産み付けます。幼虫から成虫になるまでは、約2カ月弱かかります。肉食のため、生まれたての幼虫にも生きた小さなえさを用意する必要があります。橿原市昆虫館では、小さな幼虫にはミズムシ、大きな幼虫と成虫にはクマワラジムシを主なえさとしてあたえています。前足がカマのようになっていて、それで獲物をつかまえ、しるを吸い取ります。

ふ化した直後の幼虫

絶滅のおそれのあるヒメタイコウチ

野外では、平野部の湿地帯を中心に、局地的に分布しているヒメタイコウチ。奈良県では、安定した生息地が数カ所しかなく、個体数も少ない状況であることから、特定希少野生動植物種に指定し保護されています。橿原市昆虫館では、生息域外保全を行い、奈良県の個体群の維持を行っています。また、将来的に野生復帰が必要な場合に備え、飼育繁殖技術の確立や、科学的知見の集積といった研究も行っています。

橿原市昆虫館での飼育の様子

かしはらしニュース

ルリモンジャノメを試験的に育てました

ルリモンジャノメは、もともと日本には生息していなかった迷蝶です。しかし、2021年に西表島で確認されてからは、沖縄県の八重山諸島でくり返し発生しています。幼虫は、ヤシの仲間の葉を食べることから、橿原市昆虫館では、温室で栽培しているアレカヤシで飼育。無事に成虫になりました!今後、温室のチョウの一員に加わるかもしれません。


写真提供:橿原市昆虫館

協力・監修:橿原市昆虫館
奈良県橿原市南山町624
TEL:0744-24-7246
https://www.city.kashihara.nara.jp/kanko_bunka_sports/konchukan/index.html

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エコチル編集部

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