【ふじのくに地球環境史ミュージアムだより】身近な場所にすむ小魚「カワバタモロコ」|地球にやさしい子ども達を育む環境教育メディア  
静岡
動物園だより
2024.06.03

【ふじのくに地球環境史ミュージアムだより】身近な場所にすむ小魚「カワバタモロコ」

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今月のどうぶつ:カワバタモロコ

学名:Hemigrammocypris naglecta
コイ目 コイ科
生息地:静岡県以北の本州、四国、九州

大きい個体は2年目、小さい個体は1年目のカワバタモロコ

身近な場所にすむ小さな魚

カワバタモロコは、静岡県以西の日本だけに生息する淡水魚です。見た目は地味ですが、よく見ると愛らしい顔つきをした小魚です。小川や田んぼ周辺の用水路など流れのゆるやかな場所や湖沼などにすみ、岸近くの水生植物が生いしげる場所などで、小さな群れを作り、泳いでいます。

そんな身近な環境で生きて来たカワバタモロコですが、野外で見かけることはほとんどなくなりました。各地で激減し、多くの地域で絶滅危惧種(絶滅するおそれのある生き物)になったためです。静岡県では、カワバタモロコは「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの」の1つとされています。

飼育水槽の様子

なぜ、減ってしまったんだろう?

その理由としては、土地開発などによりすめる環境が少なくなった、「外来生物」(もともとその地域にいない、他の地域からやって来た生き物)に食べられるなど、いろいろ考えられます。そこで、自然保護団体や地元の協力者たちによって本種を保護するための池が作られるなど、保全活動が続けられています。当ミュージアムでも2021年より、中庭の池を活用した保全活動を始めました。

カワバタモロコのような、身近な自然や生き物の小さな声に気づき、耳をかたむけること。それこそが、静岡県の豊かな自然環境を未来へつなげていく第一歩になるでしょう。

カワバタモロコの保全を行う中庭の池

ふじのくにニュース

企画展「古生物技師 宮澤市郎の世界」を開催中

宮澤市郎さんは、当ミュージアムで活動する古生物技師です。企画展では、アンモナイトやナウマンゾウなど数々の化石を採集してきた宮澤さんのコレクションと観察ノートを公開。紙工作職人として制作した古生物アートも展示しています。地球の歴史と絶滅生物に思いをはせてみませんか? 展示は6月30日(日)までです。


写真提供:ふじのくに地球環境史ミュージアム

協力・監修/ふじのくに地球環境史ミュージアム
静岡県静岡市駿河区大谷5762
TEL 054-260-7111
HP https://www.fujimu100.jp/

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エコチル編集部

エコチルは、地球環境保全に取り組む子ども達を育むとともに、学校や家庭でのエコライフ推進を目的としたメディアです。

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