【和歌山県立自然博物館だより】雪解けとともに発生する変形菌「シロイトルリホコリ」|地球にやさしい子ども達を育む環境教育メディア  
和歌山
動物園だより
2024.06.10

【和歌山県立自然博物館だより】雪解けとともに発生する変形菌「シロイトルリホコリ」

目次 [非表示]

今月のいきもの: シロイトルリホコリ

学名:Lamproderma album
モジホコリ目 ルリホコリ科
生息地:多雪地帯

シロイトルリホコリの子実体は、黒い柄を持ち、高さは1〜2mm程度です。子嚢(胞子がつまったふくろ状のもの)は、まん丸の球形から、だえん状の扁球形をしていて、直径は、最大1.5mm程度です。色は、るり色やむらさき色などが混在し、子嚢下部は、やや暗い色をしています。シロイトルリホコリの子嚢の中には、胞子のかたまりと、細い糸状の構造をした細毛体があります。胞子のかたまりは黒色で、細毛体は白色をしています。この白い細毛体が、和名の「シロイト」の由来です。

雪解けとともに発生する変形菌

春に気温が上昇して雪解けが進むと、やがて地表が現れます。地表には、落ち葉やかれ枝だけでなく、雪の重みでたわんだササの生葉や低木があり、そこに変形菌の子実体が発生します。こうした雪解け時に発生する変形菌を「好雪性変形菌」と呼びます。今回ご紹介するシロイトルリホコリも、雪解け時に発生する好雪性変形菌の1つです。冬の間、雪の下で変形体(大きなアメーバ)を作り、低温下で成長し、雪が解けてくると一気に子実体を形成します。

シロイトルリホコリの仲間を紹介!

シロイトルリホコリの他に、よく見つかる好雪性変形菌には、ミネホネホコリがあります。子実体は柄がなく、子嚢は球形や枕形などです。密着しており、はばは最大2㎜程度になります。子嚢の表面は、細かくて白い石灰をふくむつぶにおおわれています。他にも、ヤマケホコリもよく見られます。こちらも子実体は柄がなく、子嚢は枕形や円筒形などになります。はばは最大1㎜程度です。子嚢壁(子嚢を包む膜)は黒色で、かたいです。

なお、和歌山県立自然博物館では、6月29日(土)13時から16時に、行事「ふしぎな生物、粘菌をさがそう!」(根来山げんきの森、岩出市根来)を行います。くわしくは、当館ホームページをご参照ください。

ミネホネホコリ

ヤマケホコリ

和歌山県立自然博物館ニュース

2024年度特別展「よみがえるワカヤマソウリュウ」

7月13日(土)〜9月1日(日)に、夏の特別展を開催します。今回の主役は、昨年末に新属新種のモササウルス類として発表され話題になった「ワカヤマソウリュウ」です。全身骨格化石や、研究を重ねて復元に成功した頭骨模型(初公開)を展示いたします。ぜひご来館ください!


写真提供・協力・監修:和歌山県立自然博物館

和歌山県立自然博物館
〒642-0001 和歌山県海南市船尾370-1
TEL 073-483-1777
https://www.shizenhaku.wakayama-c.ed.jp/

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