目次 [非表示]
私たちの身近な所に、たくさんの外来生物が生息しているよ。近年、外来生物たちがいろいろな問題を引き起こしているんだ。今回、外来生物と、中でも影響が大きい特定外来生物について、いっしょに見てみよう。
外来生物って何だろう?
外来生物とは、もともといなかった地域に、人間によって持ちこまれた生物のこと。外来生物が、その地域の生態系に影響をあたえて、問題を引き起こしているんだ。生態系とは、その地域にもともと生息している生物(在来生物)が、長い時間をかけて作ったもの。動物、植物、水、土、大気などすべての自然環境が生態系を形作っているよ。そして、私たちは生態系から多くのめぐみを受けているんだ。
そんな中に、外来生物が入りこむと、どんなことが起こるだろう?もともと生息していた生き物を食べたり、すみかをうばったり、という問題が起きるんだ。その結果、在来種が減ったり、絶滅したりして、生態系のバランスがくずれてしまう。さらに、外来生物が人間をおそったり、農産物を食べたりなど、人間の生活にも影響をあたえるよ。
どうやって持ちこまれるの?
外来生物は、ペットや農作物、家畜として持ちこまれる他、海外からの荷物にまぎれこんで入って来る場合も。例えば、アライグマはペットとして国内に持ちこまれた外来生物。でも、飼育が難しいなどの理由で野外に放されたものが野生化し、頭数が増えているんだ。アライグマのように特に大きな問題を引き起こしている外来生物を「特定外来生物」と呼んでいるよ。
これからも豊かな自然を守り、外来生物を増やさないためにはどうしたらよいのかな。左の記事を参考にして、みんなも考えてみてね。
外来生物と特定外来生物ってどうちがうの?
外来生物
もともと日本にいなかった生き物で、日本にやって来たもの(アメリカからつれて来られたカミツキガメやブラックバス、台湾からつれて来られたタイワンリスなど)のことで、人間によって持ちこまれた生物。外来生物に対して、もともとその地域にすんでいる生物のことを在来生物という。
特定外来生物
外来生物のうち、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害をおよぼすもの、またはおよぼすおそれがあるものとして法律で指定されている生き物。飼育や栽培、輸入などが禁止されている。
参照 : 環境省HP「知ってるかな?外来生物。」
外来生物はどんな問題を引き起こすの?
外来生物は、次のような問題の原因になるよ。
生態系への影響
外来生物が、もともとその地域にすんでいる生き物を食べたり、すむ場所をうばったりして、生き物を絶滅させ、生態系のバランスをくずしてしまう。
人の命や健康への影響
外来生物の中には毒を持っているものもいて、人がかまれたり、さされたりする危険がある。
農作物への影響
畑をあらしたり、農作物を食べてしまったりする外来生物がいる。農業や漁業に悪い影響をおよぼすことがある。
参照 : 環境省HP「知ってるかな?外来生物。」
相模原市内で発見されている特定外来生物
外来生物の中でも特に大きな影響をおよぼす「特定外来生物」が、相模原市内でも発見されているよ。もし見つけたら、すぐにおうちの人に教えてね。(写真 : 環境省提供)
アライグマ
原産地域:北アメリカ〜中央アメリカ
生息環境:都市部から森林、湿地帯まで幅広い環境に生息
特 徴
全長60cm~100cm(尾長20cm~40cm)、体重4kg~10kg。毛は灰色、尾に縞模様がある、ひげが白い、夜行性、木登り・泳ぎが得意
生態系への被害
在来生物との競合により生態系のバランスをこわす可能性がある。民家へ侵入したり、感染症をもたらしたり、ビニールハウスをこわしたり、人体や農林水産被害を出すおそれがある。
オオキンケイギク
原産地域:北アメリカ
生息環境:河川敷、線路際など、暖かい気候を好む
特 徴
多年草、高さ30cm~70cm、花は直径5cm~7cm、葉は細長く、へら状で両面に毛がある、開花期は5月~7月
生態系への被害
在来生物と競合し、生態系のバランスをこわす可能性がある。道ばたや河原などでよく見かけるが、あまりに強く、周りの野草を根絶してしまうため、栽培、運搬、販売などが禁止されている。
ミシシッピアカミミガメ
原産地域:米国南西部
生息環境:河川、田、用水路、池などの浅い水辺
特 徴
甲羅の長さは最大で28cm、頭部の両側に赤色の斑点がある、オスは全身が真っ黒になる
※条件付特定外来生物
生態系への被害
在来のカメ類との競合や、水草や昆虫、ザリガニ、エビ、魚類など、さまざまな水生植物の捕食により、生態系のバランスをこわす可能性がある。
アメリカザリガニ
原産地域:南米
生息環境:河川、田、用水路、池などの浅い水辺
特 徴
全長10cm~15cm、成体は赤~赤褐色、若い個体は淡褐色、黄褐色、緑褐色
※条件付特定外来生物
生態系への被害
水草を切ることにより他の生物のすみかをうばう。また、希少種の捕食、在来のザリガニへ病気をうつすなど、生態系のバランスをこわす可能性がある。
※条件付特定外来生物は、一般家庭などでの飼養、無償の譲渡は可能。
外来生物の被害を防ぎ、これ以上増やさないために、できることを知ろう。
私たちにできることって何だろう?
もし特定外来生物を見つけたら、すぐにおうちの人に教えよう。
● 入れない!
もともとすんでいる場所以外に、持ちこまないようにしよう。海外に行ったときには、生き物を持ち帰らないようにしよう。
● 捨てない!
外来生物を飼っている場合は、自然の中ににがしたり捨てたりしないようにしよう。特定外来生物は原則として飼育禁止だよ。
● 拡げない!
外来生物を、運んだり、移動させたりして、他の地域に拡げないようにしよう。
2023.6.1(木)から条件付特定外来生物に指定
アメリカザリガニ・アカミミガメを飼ってもいいの?
条件付特定外来生物に指定されるアメリカザリガニとアカミミガメを飼育するときに、注意することを確認しよう。
※アカミミガメ…ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)・キバラガメ・カンバーランドキミミガメの3亜種が対象
手続きなしでできること
- 一般の人がペットして飼育する。
- 水族館や学校等ではにげ出さないように施設で飼育する。
- 飼えなくなった場合などに、責任を持って飼える人に無償でゆずったり、ゆずり受けたりする。
法律で禁止されていること
- 生きた個体を野外ににがしたり、放したりする。適切な飼育を行わずに、にげ出したりした場合も違法となる。
- 生きた個体の輸入、販売、購入。販売などを目的とした飼育。
- 無償でも生きた個体を広く配る。
- 冷凍や加工などをして販売するために繁殖する。
監修 : 相模原市 環境経済局 水みどり環境課
エコチルは、地球環境保全に取り組む子ども達を育むとともに、学校や家庭でのエコライフ推進を目的としたメディアです。