【小諸市動物園だより】長いうでと体ですばしっこく移動「アジルテナガザル」

今月のどうぶつ：アジルテナガザル

学名：Hylobates agilis
テナガザル科　テナガザル属
生息地：タイ、マレーシア、インドネシア（スマトラ島）

小諸市動物園生まれのクロちゃん。人に話しかけられるのが好きで、バナナやゆで卵などが大好物。

長いうでと体ですばしっこく移動

アジルテナガザルの「アジル」とは素早い、身軽を意味し、その名の通り、木々の間をすばしっこく移動します。移動には、長いうでと体を上手に使うブラキエーションという方法を取り、私たちが遊具の「うんてい」で遊ぶときと同じように、枝から枝へ、木から木へ移動します。ただしそのスピードは、人間とは比べものにならないほど素早いです。

アジルテナガザルの1日は朝の暗いうちから始まり、「食べて」「移動して」「休息して」をくり返し、夕方には寝床にもどります。その間に歌ったり遊んだり、グルーミング（毛づくろい）をしたりして、ペアのオスとメス、その子どもたちが家族で生活しています。

まゆには白い毛が生えている

歌うように発声してなわばりをアピール

テナガザルの仲間なので、縄張りのアピールの仕方が特徴的です。遠くまでよくひびく複雑なさけび声で、オスとメスがペアを組んで、歌うように発声します。これは、オスとメスがきずなを深めたり、自分たち家族の縄張りを守ったりするためです。発声の仕方は、オスとメスでそれぞれちがっていて、メスは「グレートコール」と呼ばれる独特な発声をします。

小諸市動物園には、メスの「クロ」がいます。ペアではなく1頭で暮らすクロちゃんが歌う「グレートコール」にどのくらい音響的な特徴があるのか、京都大学ヒト行動進化研究センターの方が研究をしています。ぜひ、クロちゃんのグレートコールを聞きに来てください。

体長は約50㎝、体重は約5.5㎏