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みんなはギフチョウというチョウを知っているかな。神奈川県の天然記念物に指定されているチョウなんだ。今回は、ギフチョウのことを紹介するよ。
日本にしかいないギフチョウ
ギフチョウは日本の固有種(日本にしかいない種類)で、北海道、四国、九州をのぞく本州だけにいるんだ。アゲハチョウの祖先種の特徴を持っているチョウで、年に一度、春にしか現れず、「春の女神」といわれるほど、とても美しいんだ。日本ではとても有名なチョウの1つで、チョウが好きな人の間でとても人気があるよ。
関東地方南部で唯一見られる石砂山
ギフチョウは、昔はいろいろな地域でよく見られたチョウだったのだけど、今は全国的に数が減っていて、絶滅してしまった地域も多いんだ。すむ場所が、住宅地などに開発されて無くなってしまったことや、雑木林が管理されなくなって、ギフチョウの幼虫が食べるカンアオイ類の植物が減ってしまったことが原因だといわれているよ。
関東地方南部では、神奈川県の石砂山でしか見ることができなくて、ギフチョウとその生息地が、県指定天然記念物に指定されているんだ。ここにすむギフチョウは、独特の形をしていて、とても貴重とされているよ。
神奈川県は、減りつつあるギフチョウを守るために保護活動をしているんだ。「春の女神」ギフチョウをいつまでも見ることができるといいよね。ギフチョウに興味を持ったら、ぜひ春に石砂山に見に行ってみよう。
ギフチョウはこんなチョウ!
ギフチョウ
昆虫網鱗翅目アゲハチョウ科
日本固有種で、アゲハチョウ科の中では小型。羽の地色は黄色で、縦に黒の縞模様が入っていて、模様から、ダンダラチョウという別名もあるんだ。後ろ羽には、赤色、オレンジ色、青藍色のまだら模様があるよ。
繁殖に欠かせないカンアオイ類の植物
ギフチョウはカンアオイ類の葉に卵を産み付け、幼虫もその葉を食べるよ。だから、繁殖にはカンアオイ類の植物が欠かせないんだ。石砂山には、カントウカンアオイが生えているよ。
石砂山のカントウカンアオイ |
葉の裏に卵を産み付ける |
「春の女神」に会いに行こう!
神奈川の天然記念物ギフチョウが生息する「石砂山」
石砂山って?
神奈川県、丹沢山地の北側、相模湖の南側に位置し、標高578mの山。東海自然歩道が通っていて、初心者でも登りやすい山だよ。北東には、関東百名山の1つ、石老山が隣接しているんだ。
4月上旬になると、山頂付近でギフチョウやキアゲハを見ることができるよ。
藤野エリアでは、ギフチョウの成虫だけでなく、卵、幼虫、さなぎもすべて採取が禁止されているから気を付けよう。
石砂山/神奈川県相模原市緑区牧野
【アクセス】最寄り駅 中央本線藤野駅登山口までは車で。
石老山西側にある宿泊・研修施設「篠原の里」の有料駐車場に駐車可能。
神奈川県ではギフチョウの保護活動を行っているよ
関東地方南部で唯一見られる石砂山でも減りつつあるギフチョウを守るため、神奈川県ではパトロールなど保護活動を行っているよ。
保護活動って何をしているの?
ギフチョウを無許可の採集などから守るために作られた「しのばらギフチョウの会」と、神奈川県の職員などでパトロールを行っているよ。
ギフチョウが産卵して、卵がかえる3月~5月の間、密猟や卵のふみ付け事故を防ぐために、毎年特設テントを設置してパトロールしているんだ。
2023年パトロール報告書
産卵を確認!
激減していたカントウカンアオイは小さな株が復活していて、その裏に産卵が確認できたよ。
確認できたのは5頭
ギフチョウは例年より少なかったけれど、約5頭確認できたよ。
あみと監視カメラを設置!
シカがカントウカンアオイを食べてしまうから、防止するためのあみと監視カメラを設置したよ。
美しいギフチョウを守るために…
石砂山登山で気を付けたい注意点
1.ごみは持ち帰ろう
山をよごすのは問題外!捨てないようにしよう。
2.カントウカンアオイをふまないようにしよう
山道沿いや登山道の真ん中に生えていたりするから注意!
3.花をつんだりふんだりしないようにしよう
成虫はカタクリなど背の低い花の蜜を吸うんだ。花も大事にね!
4.チョウや卵にさわらないようにしよう
興味があってもさわるのは我慢!写真をとるなどして楽しもう。
監修:神奈川県自然環境保全課
エコチルは、地球環境保全に取り組む子ども達を育むとともに、学校や家庭でのエコライフ推進を目的としたメディアです。