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2050年までに道内の温室 効果ガス排出量を実質ゼロに する「ゼロカーボン北海道」を実 現するために、「水素社会」の実現に向けて動き出しています。今回は、水素社会についてくわしく見てみましょう。
ゼロカーボンを実現するカギ水素エネルギー
今、水素は環境に優しい次世代のエネルギーとして注目されています。水素は最も豊富にある元素で、地球上では水や化石燃料にふくまれ、大量に存在しています。図1のように、水素は酸素と化学反応することで電気を生み出し、その過程では水しか出しません。水素は地球温暖化の原因となるCO₂を出さない、クリーンなエネルギーなのです。
北海道は、2050年までにCO₂などの温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボン北海道」の実現を目指しています。その実現のカギとなるのが、「水素社会」です。2040年までに、輸送や家庭などあらゆる分野での水素エネルギーの利用を目標に取り組んでいます。
もう始まっている水素社会
水素エネルギーの活用は、すでに始まっています。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では、開会式で点火される聖火に、大会史上初めて水素が活用されました。水素で走る「燃料電池自動車(FCV)」が大会専用車として使われ、選手村の一部では照明や空調に利用されました。北海道では、2030年までに9,000台程度のFCVの導入を目指しています。
現在、北海道には「水素ステーション」が3カ所あります。水素ステーションとは、FCVへ水素を充てんするための設備で、ガソリンスタンドのようなものです。札幌市月寒と室蘭市に移動式のものがあり、鹿追町に定置式のものがあります。2024年度には札幌市に定置式の水素ステーションが開設予定です。
水素エネルギーをもっと広く利用するためには、たくさんの水素を安全に安定して、安く「つくる」「貯める」「運ぶ」ことが重要です。この課題を解決するため、今後さらなる研究や技術開発などに取り組んでいかなければなりません。
北海道初! 定置式水素ステーション
鹿追町「しかおい水素ファーム」
家畜のふん尿から水素を製造して燃料などに利用
鹿追町では、2017年から家畜のふん尿から水素を製造して燃料などに利用する実証実験を実施。2022年に商用化され、北海道初の定置式水素ステーション「しかおい水素ファーム」の運用が始まっています。また、家畜のふん尿から水素を製造し、販売する会社としては国内初です。
鹿追町はFCVを公用車として10台、民間の事業者が9台を導入し、水素社会への1歩を大きくふみ出しています。
北海道初!バスやトラックにも対応した定置式水素ステーション
札幌市「ゼロカーボン都市」
これから建設予定の複合施設への水素の供給も行う予定です。 水素を利用した街づくり を始めています。
監修:北海道経済部 ゼロカーボン推進局ゼロカーボン産業課
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