【京都大学白浜水族館だより】貝やカニの、かたいからをくだくパンチ「モンハナシャコ」|地球にやさしい子ども達を育む環境教育メディア  
和歌山
動物園だより
2023.09.11

【京都大学白浜水族館だより】貝やカニの、かたいからをくだくパンチ「モンハナシャコ」

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今月のどうぶつ:モンハナシャコ

学名:Odontodactylus scyllarus(Linnaeus, 1758)
ハナシャコ科
生息地:本州中部以南、台湾、西太平洋・インド洋の亜熱帯・熱帯域

日本人にとっては、寿司ネタとしておなじみのシャコの仲間。エビ・カニなどと同じ甲殻類ですが、体のつくりがエビ・カニと少しちがうため、独立したグループとして分けられています。そんなシャコの仲間から、カラフルな体色をしていて、おまけにすごい能力を持っているモンハナシャコを紹介します。

貝やカニの、かたいからをくだくパンチ

シャコの仲間には、捕脚と呼ばれる足があります。捕脚の形には、やりのように獲物をつきさすタイプ(スピアラー型)と、パンチするタイプ(スマッシャー型)があり、モンハナシャコは後者です。モンハナシャコは、丸くふくらんだ捕脚の先端部(第3肢節)の付け根で、貝やカニなどの獲物にパンチをくり出します。そのパンチは、とても強くて、速いです。どれくらい速いかというと、周囲の海水の圧力が急激に変化し、海水が沸騰する「キャビテーション」という現象が起こるほどです。パンチの衝撃に、キャビテーションの衝撃も加えることで、0・003秒という一 瞬で、200㎏ほどの力を出すこともあるといわれています。

〇を付けた部分でパンチします。また、 □の部分がバネになっていて、ここで力をためておいて、その反動でパンチをくり出します

特徴的な眼

モンハナシャコのもう1つの特徴は、体の先端につき出た眼(複眼)です。クルクルとよく動かして、周りを見ています。さらに、他の生き物が見ることのできない光を感じ取れることも分かっています。

強くて、気性があらそうに感じるモンハナシャコですが、デリケートな面もあります。研究者によると、パンチ力を測るために機械を用意しても、こわがってにげてばかりで、なかなかパンチしてくれなかったそう。ただし、パンチ力がすごいことは確かなので、海で出会ってもさわらないようにして、緑やオレンジのカラフルな体色を、遠くからながめるだけにしておきましょう。

体の先端に複眼があり、クルクルと動かしながら周囲を見ます

京都大学白浜水族館ニュース

モヨウモンガラドオシ(白変種)の展示を始めました

通常のモヨウモンガラドオシは、黄色地に黒の水玉模様なのですが、展示している個体は、全身が真っ白です。眼が赤くないので、メラニン色素を作れないアルビノ個体ではないと考えられますが、どうして白くなってしまったのかは、よく分かりません。


写真提供/京都大学白浜水族館

協力・監修/京都大学白浜水族館
〒649-2211 和歌山県西牟婁郡白浜町459
TEL 0739-42-3515
https://www.seto.kyoto-u.ac.jp/aquarium/index.html

 

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