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リユース、リデュース、リサイクルの3Rはさかんにいわれているけれど、世界のごみはどうなっているんだろう? 環境先進国といわれる国々の取り組みとともに、ごみとリサイクルの現状を見ていこう!
増え続けていく世界のごみ
人間が生きていく上で、どうしても出てしまうのがごみ。2010年に世界から出たごみの量は104.7億tだったけれど、その量は年々増えていて、2050年には約223.1億tと、2010年の2倍以上の量になると予想されているんだ。
例えば、私たちが暮らす日本では、エコバッグを使う、不必要な物は買わない、使い捨ての物をさけるなど、日ごろからごみ問題を真剣に考えている人も多いけれど、1年間に焼却するごみの量は約3480万tと世界1位(2013年経済協力開発機構発表)。これは、食料品のプラスチックトレイや商品の過剰包装が原因の1つといわれているよ。
また、開発途上国では道路や水道など、インフラ整備を優先しているため、ごみ処理までに手が回らず、空き地や川、ごみ捨て場にそのままごみを捨ててしまう人が多い。さらに、急激な人口増加でごみの処理能力が追いつかず、ごみの不法投棄や違法な埋め立てが行われるなど、深刻な問題になっているんだ。
環境先進国でのリサイクル
そのような状況に、世界各国も手をこまねいているわけではないよ。環境先進国として有名なドイツでは、生ごみは発酵させてガスを作り、エネルギー源として活用している。どこの家庭にもある歯ブラシを見てみると、ブラシの部分だけが取り替えられるタイプも。さらに、教科書やペットボトルなど、リユース(再利用)もさかんなんだ。
他にも、ヨーロッパや北欧ではデポジット制度が多く導入されているよ。デポジットとは〝預かり金〟のことで、商品を買う際に一定の金額が購入額に上乗せされ、使用後にその金額が返金されるというもの。このデポジットは缶やビン、ペットボトルといった飲料容器だけでなく、自動車や電池、蛍光灯などにも導入され、オーストリアでは家電製品にも適用されている。このおかげで、不法投棄が減り、リサイクル率もアップしているそう。
個人レベルでは難しいかもしれないけれど、世界でのリサイクルを参考に、まだまだできることはたくさんありそうだね。みんなで考えてみよう!
世界のリサイクルを見てみよう!
アメリカ合衆国(サンフランシスコ)
サンフランシスコ市では、2020年までに、そもそもごみを出さない“ゼロウェイスト”を目指し、リデュース、リユース、リサイクル、ロット(生ごみをたい肥にして土に返す)の4R活動を進めているよ。市の所有する建物や広場でペットボトルの販売が禁止された他、生ごみの分別収集の義務化、食品やバス用品、洗剤など、さまざまな物が量り売りされている。必要な分だけ買えるとあって、消費者からは好評。エコバッグやエコボトルを持参する人も多いんだって。
写真提供:ウィットワ―ス真弓、出所:(一社)産業環境管理協会 資源・リサイクル促進センター
シンガポール
国土が東京23区程度しかないシンガポールでは、ごみは深刻な問題。紙やプラスチック、缶や金属など、きちんと分別しなくてはいけないし、ごみは燃やして体積を90%も減らしてから、焼却灰を埋め立て。ごみ出しの料金も住居形態によってさまざまなんだ。また、企業や団体向けには、物を入れる容器や物を包む包装から出るゴミを削減するためのプロジェクトも行われているよ。
写真提供:伊藤航太郎、出所:同左
スウェーデン
スウェーデンでは経済成長を求めるのではなく、持続可能な社会を目指すことを宣言し、いらなくなった物をメーカーが引き取る制度が徹底されているんだ。また、デポジット制度が浸透していることもあって、アルミ缶は90%、330mlのガラスびんは98%と、高いリサイクル率をほこっているよ。家庭から出るごみの99%が何らかの形でリサイクル、またはエネルギー源として利用されているんだって。
写真提供:高見幸子、出所:同左
映画『旅するダンボール』から分かるリサイクルは次のステージ、“アップサイクル”へ
現在、世界的に注目されている“アップサイクル”。このアップサイクルとは、ごみなどの不要な物を大切な物に生まれ変わらせ、再活用すること。段ボールアーティストの島津冬樹さんは、アップサイクルを実践するアーティストとして、世界中から注目されているんだ。そんな島津さんに話を聞いたよ。
『旅するダンボール』 2018年12月7日(金)YEBISU GARDEN CINEMA / 新宿ピカデリーほか、全国順次公開
©️2018 pictures dept. All Rights Reserved
「段ボールアーティスト 島津冬樹さんインタビュー」
島津 冬樹さん
1987年、神奈川県生まれ。2012年多摩美術大学情報デザイン学科卒業。2015年、大手広告代理店を経てアーティストに。2009年より路上や店先で放置されているダンボールから財布を作る“Carton”をスタート。国内外での展示やワークショップも多数開催。
集めることと作ることが好きな小学生でした。キノコや、植物、熱帯魚、飛行機など、趣味の対象はコロコロ変わりましたが、それを模写したり、自分で図鑑を作ったりと、何かを作ることは一貫していたと思います。
段ボールの財布は、段ボールのデザインに見惚れ、それを身に着けたいという思いから作るようになりました。それと同時に、こんなに素敵な段ボールがたくさんあるのに捨てるのはもったいない、と思うようになりました。
リサイクルをがんばっていると、本当に世の中の役に立っているのか、疑問に思うことがあると思います。そんなときは、まずはリサイクルという考え方ではなく、身近にあるもので、自分がほしいと思ったものを作ってみるといいんじゃないかと思います。それをほしい人がいて、活動となり、リサイクルにつながっていく。自然な流れの1つではないでしょうか。
また、この先は今よりもっと消費社会の弊害が増えていくでしょう。新しい物を作るのではなく、今ある物をどう活かしていくか、というアップサイクルにつながる発想の柔軟さをきたえるためにも、日ごろから何か手を動かして作ることを心がけてみてください。それが世の中のいろいろな問題を解決する1つのヒントになるのではないかなと思います。
全問正解できるかな?リサイクルクイズ!
Q1. 法律で決められ、99%がリサイクルされるものとは?
①パソコン ②電車 ③自動車
Q2. 使い終わった天ぷら油から何ができる?
①石けん ②セメント ③ゴム
Q3. 回収して洗って、何度も使われるビンは?
①インスタントコーヒー ②ビール ③香水
Q4. トイレットペーパー1個を作るのに、リサイクルされた牛乳パックを何枚使う?
①3枚 ②6枚 ③15枚
Q5. 最近開発された技術により、ごみや産業廃棄物が変身するものとは?
①エタノール ②トレイ ③衣料品
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答え Q1 ③、Q2 ①、Q3 ②、Q4 ②、Q5 ①
エコチルは、地球環境保全に取り組む子ども達を育むとともに、学校や家庭でのエコライフ推進を目的としたメディアです。