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今月のどうぶつ:オオスリバチサンゴ
学名:Turbinaria peltata (Esper,1794)
キサンゴ科
生息地: 静岡県西伊豆・長崎県対馬以南、西太平 洋の温帯~熱帯域の岩礁・サンゴ礁
造礁サンゴ(亜熱帯・熱帯の海で、サンゴ礁を形成するサンゴ)の仲間。全体の形は、名前の通り、すりばち型や皿型のものが多いのですが、一部が柱状にのびたものなど、変異もあります。一般的な大きさは、直径50㎝程度まで。でも、長崎県五島列島では、皿型が何重にも重なり、直径16mもある、推定年齢1000年超の個体も見つかっています。オオスリバチサンゴをふくむ造礁サンゴの仲間は、沖縄以南の亜熱帯・熱帯に非常に多くの種類がいますが、和歌山県内でも120種以上が見つかっています。
ポリプが集まった体
サンゴの体は、ポリプと呼ばれる、小さなイソギンチャクのような体がたくさん集まってできています。多くのサンゴは、1つ1つのポリプが、直径数㎜ほどで、昼間は縮んでいるものが多いです。でも、オオスリバチサンゴのポリプは、触手の差し渡しが2㎝ほどと大きく、また、昼間も広がっていることが多いので、ポリプを観察しやすいサンゴの1つです。オオスリバチサンゴのポリプは、茶褐色をしています。これは、体内に共生している、褐虫藻という藻類の色です。造礁サンゴは、褐虫藻が太陽光を受けて光合成した栄養分をもらうことで早く、時に巨大に成長することができます。
たくさんの触手があるポリプ。 中心には、口があります。
サンゴ礁を作る石灰質の骨格
オオスリバチサンゴなど造礁サンゴの体には、かたい石灰質の骨格があります。サンゴは、成長にともなって骨格を大きくし、表面にあるポリプの数を増やしていきます。造礁サンゴが死ぬと、石灰質の骨格が残ります。その上に新たな造礁サンゴが育つことで、石灰質の骨格が積み重なり、長い時間をかけて、サンゴ礁という地形を作ります。生きているサンゴの骨格には、ポリプがおさまっている莢という穴があり、その中にはたくさんの隔壁があるのを観察できます。和歌山県南部の海岸では、死んだサンゴの骨格を拾うことができますので、観察してみるとおもしろいでしょう。
左:骨格の全体像、右:莢の拡大。石灰質の骨格の中に、たくさんの莢があります
京都大学白浜水族館ニュース
京都大学瀬戸臨海実験所の研究紹介
現在、白浜水族館の標本展示コーナーでは、水族館の母体である京都大学瀬戸臨海実験所での研究を、各種標本と合わせて紹介しています。和歌山県の海岸で見られる、ムラサキウニの巣穴の中に共生している2㎜くらいの巻貝など、身近な海のまだ分かっていない生き物の研究について、知ってもらえればと思います。
写真提供:京都大学白浜水族館
協力・監修:京都大学白浜水族館
〒649-2211 和歌山県西牟婁郡白浜町459
TEL 0739-42-3515
https://www.seto.kyoto-u.ac.jp/aquarium/index.html
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