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今月のどうぶつ: アブラコウモリ
学名:Pipistrellus abramus
翼手目 ヒナコウモリ科
生息地:東アジア。日本では、北海道以南に分布
アブラコウモリは、家の外側にあるわずかなすき間にもぐりこみ、ねぐらや子育ての場所として利用します。日中は静かに休み、夜になると飛び回って、せっせと虫を食べます。下の写真は、アブラコウモリの幼獣です。上の写真の成獣と比べて、体毛が黒っぽく、頭胴長は、一回り小さくて4cmほどになります。
アブラコウモリだって「おとなりさん」
自分の家の周りにいる生き物といえば、何を思いうかべますか?クモやカ、ハエなどの虫の他、犬やネコ、スズメなどがいますね。今の時期だと、ツバメも身近な生き物です。
当館では、家に住みつく困った哺乳類(アナグマやアブラコウモリなど)についての質問が、ときおりあります。身近な生き物として、受け入れられずに困る方が多いのでしょう。
アナグマは床下、アブラコウモリは外壁の隙間を、ねぐらにすることがあります。ツバメと同様に、ヒトが作り出した環境を、利用しているのです。ツバメやコウモリが食べている家の周りの虫も同じで、ヒトが排出する資源(食べかす・代謝物)や、暖かい環境を求めて集まってきます。
かれらは、そういう性格の生き物であり、こうした生き物たちのネットワークから、ヒトを切りはなすことはできません。どうか、コウモリも「おとなりさん」として、受け入れてあげてください。
「知らない」がおびやかす、コウモリの暮らし
歌山県内で確認されているコウモリのうち、アブラコウモリを除く11種は、人里はなれた場所で暮らしています。これらのコウモリのほとんどは、使われていないどうくつが、すみかです。
しかし、老朽化したどうくつは危険なため、ヒトが入らないように、入口を完全にふさぐことがあります。こんな場合にも、「おとなりさん」のコウモリの存在を認めていただき、数少ない居場所をうばってしまわないよう、コウモリが出入りできる隙間のあるさくで、ふさぐようにしていただきたいものです。
どうくつを利用するテングコウモリ
和歌山県立自然博物館ニュース
2023年度特別展「進め!けものみち探検隊」
夏の特別展を、7月15日(土)~9月3日(日)に開催します。今回の特別展の主役は、陸上で暮らす哺乳類です。和歌山にはどんな哺乳類がいるのか、どうやって探すのか、どんな姿をしているのかなど、探検隊になったつもりで展示会場を探検し、楽しく学んでみましょう!
写真提供:和歌山県立自然博物館
和歌山県立自然博物館
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TEL 073-483-1777
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