【和歌山県立自然博物館だより】壮大な旅をする「ボウズハゼ」|地球にやさしい子ども達を育む環境教育メディア  
和歌山
動物園だより
2022.12.12

【和歌山県立自然博物館だより】壮大な旅をする「ボウズハゼ」

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ボウズハゼ

学名:Sicyopterus japonicus
スズキ目 ハゼ科
生息地:国内では福島県~琉球列島、八丈島、 小笠原諸島


石の上に生えている藻類を食べる

壮大な旅をするボウズハゼ

ボウズハゼは、河川の中流から上流に生息しています。でも、生まれてすぐの赤ちゃんは、川の流れに乗って海へと下りて行きます。不思議なことに、ボウズハゼの成魚は淡水域でないと生きていけませんが、赤ちゃんは海水に入らないと死んでしまうのです。

海に出た赤ちゃんは、約半年もの間、海流に乗って各地へと散らばって行きます。海で成長しながら河口へ移動し、成魚の生息地である河川上流を目指します。そして、さらに成長しながら、急流をものともせずに遡上。なんと、ときには岩を登りながら、滝をもこえて行きます。

体のひみつ

手も足もないボウズハゼが、岩を登ることができるのには、腹びれと口に秘密があります。ハゼの仲間の多くは、腹びれが吸盤状になっていて、岩や草に吸い付くことができます。特にボウズハゼは、腹びれの吸い付く力が強いようです。

また、腹びれほどではありませんが、口でも岩に吸い付き、腹びれと口を器用に使いながら、イモムシのように岩をひょこひょことはい上がって行きます。

和歌山県の天然記念物に指定されている古座川「滝の拝」でも、岩登りによって滝をこえるボウズハゼが、夏の風物詩です。がまん強く上流を目指すボウズハゼの姿を、ぜひ実際に見てみてくださいね。


吸盤のような腹びれで、ガラスにくっつくボウズハゼ 

和歌山自然博物館ニュース

食卓に上がる魚をじっくり見てみよう

2023年1月29日(日)の午後1時~4時に、みなさんがよく食べている魚をじっくり観察し、体の形や特徴について調べる行事を開催します。スケッチや解剖、水槽で泳ぐ魚の観察などを通して、身近な魚について楽しく学んでみませんか?くわしくはホームページをご覧ください。


写真提供:和歌山県立自然博物館

和歌山県立自然博物館
〒642-0001 和歌山県海南市船尾370-1
TEL 073-483-1777
https://www.shizenhaku.wakayama-c.ed.jp/

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